白川区 区長

後藤 健一

白川水源を管理する南阿蘇村白川区の区長。
南阿蘇で生まれ、育ち、
「地域の社交場」から「観光地」へと変遷していく
白川水源を見守り続ける。





 数ある南阿蘇の湧水池の中で、ひときわよく知られるのが白川水源です。一級河川白川の総水源として、毎分60トンもの水が湧き上がります。  白川水源は、南阿蘇地域の田園を潤す農業用水として活用される一方で、現在はすっかり観光地として整備されています。  しかし「昔の姿はまったく違っていました」と、白川区の区長を務める後藤健一さんは話します。「以前は、地域の生活に密着した、地域のための、いこいの場でした」。地域の人々が米や野菜を洗ったり、洗濯をしたり、時には子どもたちが泳いで遊んだりした光景を「いまもはっきり憶えています」。







 後藤さんは、白川水源が観光地に変わってきた当初「私たちにとって”当たり前”の場所に人が集まるのか」と不思議な感覚があったといいます。しかし、訪れる人々が感動する姿に「他のどこにもない素晴らしい場所と気付かされた」と後藤さん。「それまであまりにも生活の中に溶け込んでいて、特別なことが分からなかったんです」。次第に「地域を挙げて、白川水源を守っていきたい」という思いも生まれてきたといいます。「白川水源は、南阿蘇の人にとってだけでなく、全国の人にとってもかけがえのない場所。後世へとつなげなければなりません」




 白川水源を守り続けるには、地域一帯となった協力体制が必要です。  そのため南阿蘇では、後藤さんたち住民による清掃活動のほか、南阿蘇村役場による、「地下水保全米」栽培への支援「地下水を守るん田゛(だ)」プロジェクトなど、さまざまな形で水源を守る活動が行われています。
 後藤さんは、白川水源の水は「質の良さが何よりの自慢」と胸を張ります。「熱処理をしなくてもそのまま飲んで安全なおいしい水です」。これまで、この品質を保つために、雨水が湧水池に万が一にも戻らないよう、逆流防止の柵を取り付けるといった対策を進めてきました。
 これからも白川水源は、地域の方の地道な支えによって、南阿蘇を潤し、人々を魅了し続けていくことでしょう。






                   
           
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